総合型選抜
総合型選抜の志望理由書|高校生が書き始める前の5ステップ

総合型選抜の志望理由書をこれから書く高校生へ。大学・学部とのつながりをつくり、自分の経験を具体化する5つの手順と、募集要項で確認すべき点を解説します。
公開 2026-07-18 / 更新 2026-07-18 / 12分
総合型選抜の志望理由書は、きれいな言葉を並べる作文ではありません。自分が抱いた関心を、これまでの経験、大学で学びたいこと、卒業後に考えていることへつなげ、大学側に『この学生と一緒に学びたい』と思ってもらうための書類です。書き始める前に材料を整理すれば、活動実績が派手でなくても、内容のある志望理由書にできます。
最初に知っておきたい:志望理由書は大学へのラブレターではない
『この大学に入りたいです』だけでは、なぜほかの大学ではなくその大学なのかが伝わりません。総合型選抜では、大学・学部が掲げる教育内容や求める学生像と、受験生自身の経験・関心がつながっているかが重要になります。まずは募集要項、学部案内、アドミッション・ポリシーを読み、どんな学生を受け入れたいと書かれているかに線を引きましょう。
大切なのは、大学の言葉をそのまま写すことではありません。自分が興味を持った授業、ゼミ、実習、地域連携、留学制度などを選び、『なぜ自分はそこに惹かれたのか』を自分の経験で説明することです。大学の特徴と自分の言葉が交わる場所が、志望理由書の中心になります。

ステップ1:募集要項から書類の条件を抜き出す
書き始める前に、文字数、設問、提出形式、締切、ほかに必要な書類を一枚にまとめます。同じ『志望理由書』という名前でも、大学によっては将来の目標、探究活動、入学後の学習計画、自己PRを別々に問うことがあります。文字数を後から知ると、完成した文章を無理に削ったり足したりすることになり、内容が薄くなります。
設問ごとに『必ず答えること』を短い言葉でメモしましょう。たとえば、志望理由なら大学との接点、自己PRなら根拠となる経験、学習計画なら入学後に学びたいテーマです。入試方式・学部・年度によって条件は変わるため、まとめサイトだけで判断せず、必ず志望大学が公開する当該年度の募集要項を確認してください。
ステップ2:経験を『事実・行動・変化』に分けて書き出す
部活、委員会、探究、アルバイト、家族との出来事、日常で感じた疑問まで、題材は特別な賞歴に限りません。まずは印象に残っている場面を三つ選び、『何が起きたか』『自分は何をしたか』『その後に考え方や行動がどう変わったか』の順で書き出します。抽象的に『成長した』と書くより、具体的な場面を一つ示すほうが読み手に伝わります。
活動実績が少ないと感じる人ほど、量で勝負しようとしがちです。しかし、ひとつの経験を丁寧に振り返り、そこから生まれた問いを説明できれば、十分に志望理由の材料になります。『なぜそう思ったのか』を自分に何度か問い直して、出来事の表面だけで終わらせないことが重要です。

ステップ3:経験から生まれた問いを、学部での学びにつなげる
経験を書いたあとに必要なのは、『だから私は何を知りたいのか』という問いです。地域のイベント運営で参加者が減っていると感じたなら、観光、地域政策、マーケティングのどこに関心が向いたのかを言葉にします。福祉に関心を持ったなら、制度、支援の仕組み、当事者との関わりなど、大学で深めたい方向を具体化します。
ここで学部名だけを出すのでは足りません。大学のカリキュラム、授業、ゼミ、実習から一つか二つ選び、自分の問いとどうつながるかを書きます。ただし、授業名を並べるだけでは大学案内の要約です。『この授業を通じて、経験から生まれたこの問いを深めたい』まで書くと、学ぶ目的が伝わります。
ステップ4:将来像は大きく言い切らず、今の行動につなげる
将来の夢を無理に職業名で決め切る必要はありません。『地域の人が参加しやすい場をつくりたい』『子どもが学びを選べる環境に関わりたい』のように、解決したい課題や関わりたい対象から書き始めても大丈夫です。そのうえで、大学での学びがどのように次の行動につながるかを示します。
注意したいのは、根拠のない大きな言葉です。『世界を変えたい』よりも、『高校での探究を発展させ、大学の地域実習で現場の声を聞きたい』のほうが、入学後の姿を具体的に想像できます。今の経験、大学での学び、卒業後の方向性を一本の線にすると、文章に一貫性が生まれます。

ステップ5:下書きを声に出して読み、他人に伝わる形へ直す
一度書いたら、声に出して読みます。主語が何度も変わる、同じ表現が続く、結論が最後まで見えない部分は、読んでいて引っかかります。各段落の最初に結論を置き、次に経験や理由を書くと、読み手が迷いません。文字数を合わせるのは最後です。先に伝えたい内容を揃え、不要な形容詞を削るほうが文章は強くなります。
学校の先生や信頼できる大人に読んでもらうときは、『すごい文章か』ではなく『私が何を学びたい人に見えるか』『大学とのつながりが分かるか』を聞きましょう。自分では分かっている前提が、初めて読む人には伝わらないことがあります。指摘をすべて受け入れるのではなく、自分の核となる経験や言葉を残しながら整えます。
よくある失敗:大学の情報だけ、自分の話だけで終わる
大学のパンフレットをよく読んだことが伝わる文章でも、自分の経験との接点がなければ、なぜその人が学びたいのかは見えません。反対に、自分の経験を詳しく書いても、大学で何を学ぶかに結びつかなければ、入学後の姿を大学側は想像しにくくなります。この二つを交互に置く意識を持ちましょう。
また、実績を盛ることや、他人の文章を参考にしすぎることも避けるべきです。選考では面接で文章の内容を聞かれることがあります。自分の言葉で説明できない表現は使わず、事実と考えたことを丁寧に積み上げるほうが、結果的に面接でもぶれません。
まとめ:書く前の整理が、志望理由書の半分をつくる
志望理由書は、書き出してから悩むより、募集要項、経験、問い、大学での学びを先に並べてから書くほうが進みます。まずは一つの経験を『事実・行動・変化』で書き出し、志望大学の公式情報とつなげてみましょう。条件や準備の優先順位に迷うときは、診断で現在地を整理してから、各大学の募集要項へ戻る流れがおすすめです。
提出前の一週間で確認するチェックリスト
提出前の一週間は、新しい表現を足し続けるより、要件の確認に時間を使いましょう。設問にすべて答えているか、文字数の上限・下限を守っているか、大学名・学部名・授業名に間違いがないか、指定されたファイル形式や手書きの有無を確認します。特に複数校へ出願する場合、別の大学向けに書いた名称や日程が残っていないかは必ず見直してください。
推薦書や調査書など、本人だけでは準備できない書類もあります。学校の先生にお願いする期限、郵送が必要な場合の到着期限、Web出願後に別途提出する書類をカレンダーへ入れましょう。締切当日に文章を完成させる計画では、通信不良や入力ミスに対応できません。文章の完成日を出願締切より数日前に設定しておくと、内容の確認と手続きの確認を分けられます。
添削を依頼するときは、完成した文章を渡すだけでなく、志望大学・学部、入試方式、文字数、特に不安な点を一緒に伝えます。先生や家族からの意見を受けるときも、全員の表現をつなぎ合わせる必要はありません。読み手に伝わりにくい部分を見つけてもらい、自分の経験と考えを自分の言葉で言い直すことが、最終的には面接対策にもなります。
提出した文章は、PDFやコピーで手元に保存しましょう。面接で『志望理由書に書いていた経験について詳しく教えてください』と聞かれることがあります。提出後に読み返し、どの段落でも具体例を一つ話せるように準備しておくと、書類と面接の内容に一貫性が出ます。志望理由書は提出して終わりではなく、入試本番で自分の考えを伝えるための土台になります。大学で学びたい内容を、短く自分の言葉で説明する練習にも使いましょう。診断で整理した興味分野や活動の棚卸しも、最初の材料として活用できます。面接練習では、文章を暗記して読むのではなく、各段落を『なぜそう思ったか』『具体的に何をしたか』『大学でどう深めたいか』の三つに分けて話してみてください。
よくある質問
活動実績が少なくても志望理由書は書けますか?
書けます。特別な賞歴より、経験から何を考え、どんな問いを持ったかを具体的に説明することが重要です。日常の経験も、行動と変化を振り返れば題材になります。
志望理由書はいつから書き始めるべきですか?
志望大学の募集要項が出たらすぐに設問と締切を確認し、経験の棚卸しを始めましょう。添削や書き直しの時間を考えると、出願直前ではなく余裕を持って下書きを作ることが大切です。
大学のアドミッション・ポリシーはどこで確認できますか?
志望大学の公式サイトや学部ページ、募集要項で確認できます。年度や学部によって表現や出願条件が異なる場合があるため、出願する方式の最新情報を確認してください。